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社長の見解

【倒産事例】建築資材販売のケース

昭和59年に建築資材販売業者として法人設立し、軽量下地材や石膏ボードなどを主として内装材を扱っていたI商事株式会社が、2020年11月東京地裁より破産手続き開始決定を受けました。

 

I商事は首都圏エリアを中心とした工事業者を得意先としながら、至急とする案件や小ロット販売など様々なニーズにも迅速に対応し、得意先からも信頼を得ていた会社です。

 

その小回りの利いた営業と厚い信頼で、2006年8月期の年間売上高は約3億円と受注も堅調といえる状況でした。

 

しかし同業他社との競合激化により、2018年8月期の年間売上高は、ピーク時といえる2006年の同月期の3分の1、約1億円にまでとどまる結果となってしまいました。

 

その上、多額の不良債権で債務超過に陥ることとなり、取引先からの支払いも遅延するなど資金繰りは悪化。さらに代表者の体調不良に加え、新型コロナウイルスでの打撃など、様々な要因が引き金となり2020年5月に事業は停止。

 

約1億5千万円の負債総額を抱え今回の破産手続き開始決定という措置という結果に至ったのです。

 

このように新型コロナウイルスによる感染拡大は建築資材の需要にも大きな影を落としています。

 

もともと新型コロナウイルスは中国で流行が始まり、騒ぎになった当初から住宅設備などの供給遅れで、家を建てることができないという問題が起きてしまいました。

 

緊急事態宣言の発出や営業自粛などを背景として、現場は閉所され工事が中断されるという事態も発生しています。

 

一戸建て住宅の集客のタイミングといえるのは、年間を通してみても大型連休のゴールデンウィークの時期が最も大きいといえます。この稼ぎ時といえる期間がステイホーム週間になってしまい、新規の受注も厳しくなったことなども、I商事には大きな打撃になったといえるでしょう。

 

住宅需要や新築受注の落ち込みに加え、中国で生産されている建築資材や部品などの供給・納品の遅れなどによる工期の遅延など、対応に追われた建築資材販売業も数多くあります。

 

I商事でも、ビル・ホテル・商業施設といった建設の需要が減退傾向となり、内装工事業者などの取引先から下げ圧力が強まったと感じることになりました。販売価格の見直しなどを検討しなければならなくなり、様々な背景を影響に経営はさらに悪化してしまったといえます。

 

東京オリンピック・パラリンピック関連のインフラ整備に都市部の再開発など、下地材の需要は追い風ムードといえる環境にあったはずです。

 

しかし新型コロナウイルスの感染拡大により、ホテルや商業施設といったインバウンド関連の建設計画はだんだんと陰りを見せ始め、嘘のように案件は減少するようになりました。

 

少なくなってしまった案件を何としてでも獲得しなければと工事単価が値下がるようになり、それに連動するかのように資材や下地材の価格も値下げ圧力が強められてしまったのです。

 

しかし下地材などの販売価格は下落してしまえば採算が取れなくなるため、売り腰を引き締め維持しようという企業もありました。しかしすでに債務超過という状況にあったI商事では、他社のように強気の姿勢を見せることは困難な状況だったといえます。

 

新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発出など、全般的に営業活動を自粛することが必要となり、市場は大幅な縮小に至っています。

 

営業活動再開で縮小した市場も少しずつ回復の兆しが見えた中、まだまだコロナ禍は収束することを知らず、第3波はこれまでにない勢いで感染を拡大させている状況です。

 

新たな生活様式に対する需要と自然災害に伴う復旧や復興など、それらのニーズに対応するためには手元の資金が必要です。事業継続のためには資金を枯渇させないことがより重要であるといえるでしょう。

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