金融裁判事例

ファクタリングへの大きすぎる誤解
【知らないと損失に】
裁判の現状について

「ファクタリング」には「手早く資金調達できる」という大きなメリットがあります。

それにもかかわらず、最近では悪いイメージを持たれているケースが少なくありません。特に2020年3月、金融庁によって「給料ファクタリングは貸金業に該当する」という見解が発表されたり裁判所で「給料ファクタリング業者を違法」とする判決が出されたりしたため、ファクタリングに対する風当たりが強まっているといえるでしょう。

しかし「ファクタリング=悪」ではありません。現実には多くの中小企業、事業者が合法的なファクタリングを利用して資金繰りにあてており、会社の「命」をつないでいるのが現状です。

実は裁判所でもファクタリングを合法と認め、ファクタリング業者を勝たせる判決が多数下されています。早とちりして「ファクタリングは怖い」などと誤解すると、重大な機会の損失となるでしょう。

今回は「ファクタリングとは何か」という基本事項、「ファクタリングのリスク・問題点」や「ファクタリングに関する真実」をわかりやすく解説します。効果的に資金調達を行って会社経営に役立てられるよう、ぜひ参考にしてみてください。

1.ファクタリングとは

ファクタリングとは、「債権譲渡」によって早期に売掛金を現金化する資金調達手段です。債権譲渡とは、「売掛金」「貸付金」などの「債権」を譲り渡す契約を意味します。企業は債権譲渡の対価として「代金」を受け取れます。本来なら売掛金の支払時期が来るまでお金を手にすることはできないはずですが、債権譲渡によって早期確実に現金を得られるのです。

ただしその際、手数料が割り引かれます。債権は確実に回収できるとは限らないので、そのリスクの分、額面額よりも低めの価額で取引されるのが通常となっています。

ファクタリングはもともと欧米で発達した金銭調達手法であり、現在でも広く利用されています。決して違法な仕組みではありません。

1-1.ファクタリングを利用するメリット

企業が物やサービスを売って売掛金を取得しても、支払日は将来なのですぐにお金を入手できません。とはいえ資金繰りが苦しくなっていれば、「今すぐにでも現金がほしい」でしょう。

そんなときファクタリングを利用すると、売掛金をファクタリング業者(債権買取業者)に販売し、即時に現金を受け取れます。債務者による支払い遅延や不払いのリスクも防げます。ファクタリングによって運転資金をつなぐことができて、倒産を避けられる中小企業も少なくありません。

1-2.ファクタリング(債権譲渡)は法律によって認められている

日本では民法によって「債権譲渡」が認められているので、売掛金の譲渡に何ら違法性はありません。また債権譲渡の金額についても当事者で自由に決められるので、売買代金が債権の額面額より低くても法的な問題は発生しません。

通常の売掛金に関するファクタリングは、「完全に合法」といってよいでしょう。

2.金融庁と裁判所により「給料ファクタリング」が違法と判断された

2020年3月5日、金融庁は「給料ファクタリング」が「貸金業」に該当すると発表しました。これにより、給料ファクタリング業を行うときには貸金業登録が必要となり、無登録の給料ファクタリング業者は違法であることが明らかになりました。
また同月24日には東京地裁が「給料ファクタリング業は貸金業に該当するので、無登録による営業は認められないし手数料は利息制限法に従う必要がある」という判決を下しました。

このようなニュースが流れたため、世間では「ファクタリングは違法」「ファクタリング業者は闇金」という誤解が生じてしまっています。しかし給料ファクタリングと一般の事業者向けファクタリングはまったく性質を異にするので、混同してはなりません。

3.給料ファクタリングは一般のファクタリングと異なる

そもそも給料ファクタリングが違法というわけでもありません。
確かに「給料ファクタリング」は「貸金業」に該当するでしょう。ただ貸金業に該当するとしても、要件を満たせば合法です。そうでないと消費者金融やカード会社も違法となってしまうでしょう。きちんと貸金業登録を行って利息制限法以内の利率でビジネスを行うのであれば、現状でも合法的に給料ファクタリングを実施して良いのです。

また、一般の事業者が利用する「(伝統的な通常の)ファクタリング」はそもそも貸金業でもありません。給料ファクタリングと事業者の利用するファクタリングには大きな違いがあり、同視すべきではないのです。

給料ファクタリングの特殊性

給料ファクタリングには以下のような特殊性があるので、事業者向けファクタリングとは大きく異なります。

給料は労働者の生活の基本となる重要な債権

給料の請求権は、労働者の生活の基本となる重要な権利です。給与を受け取れなくなったら労働者はたちまち生活できなくなってしまうからです。この意味で事業者の売掛金とは「債権そのものの重要性」が大きく異なります。

給料は労働基準法によって厳格に守られている

給料は非常に重要性が高いことから、一般の債権とは異なり労働基準法によって厳格に守られています。

  • 直接労働者へ支払わねばならない
  • 現金払いしなければならない
  • まとめて全額払わねばならない
  • 毎月1回以上、払わねばならない
  • 一定の期日に支払わねばならない

こういった「賃金支払いの5原則」が適用されますし、労働者への貸付金や違約金などとの相殺も禁止されます。

一方、事業者の売掛金には上記のような規定は一切適用されません。
このように厳格に保護される給料債権と一般事業者の債権を、同様に論じるのは無意味といえるでしょう。

差押えも一部しかできない

給料も差押の対象になりますが、差し押さえられるのはほんの一部です。手取り額が44万円以下の場合、4分の1までしか差し押さえられません。手取り額44万円以上となる場合、33万円を超える部分が差押対象となります。

一般事業者の債権の場合、こうした差押禁止規定は適用されず「全額が差押対象」となります。この点でも「給料が特に守られた債権」であることがわかるでしょう。

給料は流動性が極めて低い

給料は、そもそも流動性の低い債権です。「賃金の直接払いの原則」が適用されるため、労働者本人しか受け取れないことや労働者本人の生活の糧となることなどが影響しています。

給料ファクタリングの大きな問題は、「労働者自身の生活を守るための流動性の低い給料を無理矢理ファクタリングのスキームに流し込んだ」こと。
給料はそもそもファクタリングに適さないのに、一部の悪質な業者が貸金業法を潜脱するため、「給料ファクタリング」という仕組みを作り出したのです。そこで労働者へ金銭貸し付けを行ったと認定されてしまいました。

これに対し、事業者の債権はもともとファクタリングに適したもので、欧米を始めとした世界でも広く利用されているスキームです。歴史も信頼性もあり、確立された資金調達手段といえるでしょう。
日本で一部の業者が作りだした「給料ファクタリング」と同視すべきではありません。

4.事業者のファクタリングが合法である理由

事業者向けのファクタリングは完全に合法です。
そもそも事業者向けファクタリングで譲渡の対象になるのは、「売掛債権(売掛金)」です。
売掛債権は、給料と異なり「本人に直接払われなければならない」などの原則が適用されませんし、相殺も可能です。本人に直接払わなくても良いのですから、給料よりもずっと譲渡しやすい債権といえるでしょう。
実際に法律によって債権譲渡は「基本的に自由」とされていますし(民法466条)、近年の民法改正によってさらに流動性が高められています。

4-1.改正民法により債権譲渡がより流動的に

譲渡制限特約があっても基本的には譲渡が有効とされた

従来の民法では、当事者が「この債権は譲渡してはならない」という特約(譲渡禁止特約)を定めた場合、譲受人が特約を知っていたり知らないことに重大な過失があったりしたら債権譲渡が「無効」とされていました。
改正法では、譲渡禁止特約がついている債権譲渡も「有効」とされます。ただし譲渡制限特約について知っていたり重過失があったりする債権者に対しては支払を拒める、とされるのみです(民法466条)。
つまり改正法では「譲渡制限特約があっても基本的に債権譲渡が有効」とされているので、「無効になるケースがある」としていた従来の規定より債権の流動性が高められたといえます。

将来債権の譲渡も可能とされた

改正法は、将来発生する債権の譲渡も可能であることを明確にしました(466条の6第1項、467条1項)。
従来も判例によって将来債権の譲渡が認められていましたが、今回の法改正によって明文化されています。

このように、法律は「事業者が流動的に債権譲渡して資金調達に役立てるように」と配慮しているのです。

4-2.国も債権の流動化を推奨

国も中小企業の債権流動化による資金調達を積極的に推奨しています。
経済産業省、中小企業庁のHPでは、売掛債権の利用促進が呼びかけられているので、ぜひご覧ください。
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/urikake_panhu2.htm

以上のように、「貸金業」と認定された給料ファクタリングと伝統的な事業者向けファクタリングはまったく別のものです。混同して「事業者向けファクタリングも違法」などと考えないようにしましょう。

5.事業者向けファクタリングは中小企業の資金調達を救う

事業者向けのファクタリングは、違法どころか中小企業を救う手段として注目されています。

5-1.近年、中小事業者の資金調達が厳しくなっている

中小事業者は大手企業と異なり「信用」が高いとはいえません。銀行などの金融機関から融資を受けるのは容易ではないでしょう。

従来、資金繰りが厳しくなると、多くの事業者は貸金業者から貸付を受けて資金をつないでいました。
しかし2010年に施行された改正貸金業法により、多くの貸金業者が過払い金返還請求を受けて倒産・廃業に追い込まれました。残った貸金業者も審査を厳格化し、貸倒による損失を防いでいる現状です。さらに借金の総量規制ももうけられ、利用者は年収の3分の1までしか貸付を受けられなくなりました。
こういった状況のもと、中小事業者は金融機関からも貸金業者からも借入を受けられず、思うように資金調達できない状況が発生してしまったのです。

5-2.ファクタリングによって会社を存続できる

追い込まれた中小企業を救うのが「ファクタリング」です。
売掛債権を早めに売却することで現金を入手し、各種支払や従業員への給与に充てることができて会社を存続させられるのです。

6.2社間契約のファクタリングも違法ではない

ファクタリングが問題視される理由として「2社間契約」である点もあげられるでしょう。

6-1.2社間契約は違法ではない

2社間契約とは、「利用者とファクタリング業者のみの契約」という意味です。第三債務者(取引先)は巻き込まず、利用者が自ら債権を回収してファクタリング業者へ回収した資金を渡す仕組みです。外形的にはあたかも「借金を返済する」のと同じにみえてしまうので「貸金業の潜脱」などと言われやすい傾向があります。

しかし2社間契約だからといって「貸金業」になるわけではありません。
そもそもほとんどのケースにおいて、2社間契約を希望するのは利用者側です。取引先を巻き込む3社間契約にすると、債務者(取引先や金融機関)へ債権譲渡の通知をしたり登記したりして対抗要件を具備しなければなりません。すると取引先からの信用が失われ、今後の事業継続に支障をきたすリスクが高まります。多くの企業は、自社が存続するために自ら強く2社間契約を希望するのです。

ファクタリング会社は利用者の都合や希望に合わせて2社間契約としているだけです。貸金業法の潜脱目的ではありません。実際にファクタリングに関して多くの裁判例が出ていますが、裁判所も2社間契約そのものを違法と認定していません。

6-2.「買戻し特約」は違法になる可能性がある

ファクタリングで「買戻し」が行われるケースがあります。買戻しとは、債権譲渡の対象となった債権を回収できなかったとき、利用者に債権を買い戻させてファクタリング業者へお金を返済させる特約です。
確かに買戻しはファクタリングの枠組みを超えており「借金返済」といわざるをえない面があります。買戻しを強制するファクタリング業者は貸金業者といわれても仕方がないでしょう。

6-3.買戻し特約がついていない2者間ファクタリングは合法

ただ買戻し特約をつけるようなファクタリング業者は極めて少数です。ほとんどのファクタリング業者がこういったグレーな仕組みを作らず、合法的に営業しています。

2社間のファクタリング契約でも「買戻し特約」をつけていなければ違法ではないとする裁判例が多数あります。通常の2社間ファクタリングに関しては、何ら法的な問題はありません。

7.売買手数料は高いのか?

ファクタリングでは、「売買手数料が高い」ことが問題視されるケースも多々あります。
2社間ファクタリングの場合、売買価格は債権額面額の75~85%程度が相場となるでしょう。実質年利にすると200%以上になるケースもあり、一見「高い」といわれても仕方ないかも知れません。

ただ売掛債権は、回収不能となるリスクが極めて高い資産です。そもそも取引先に支払い能力がないケースもありますし、相殺や時効、その他の理由で債権が消滅するのも日常茶飯事といえるでしょう。
たとえば建設業では注文のキャンセル、変更が日常的に行われます。支払期日直前に金額や支払日が変更されるのはまったく珍しいことではありません。製造業でも納品後、検品の結果によって支払金額が変更されるケースが多々あります。

ファクタリング業者によって、こうした回収不能や金額変更、回収の遅れなどが大きなリスクとなるのです。リスクを引き受ける以上、手数料が高くなるのは当然です。「貸したお金を本人から返してもらえる貸金業」とは全く異なるので、手数料の割合のみ同列に論じるのはナンセンスといえるでしょう。

8.売掛債権担保融資との比較

売掛債権自体の売買(債権譲渡)と売掛債権を担保にする貸付(貸金)も比較してみましょう。両者には、決定的な違いがあります。
売掛債権には高いリスクがあるため、売掛債権を担保としてお金を貸し付ける場合、担保価値評価額は極めて低額になります。おおむね2~20%程度の評価しか受けられません。
たとえば月商1000万の事業者が1年分の売掛金を担保にして1億2000万分の担保を差し入れる場合でも、200万~2,000万円程度しか借り入れられないのが現実です。

債権を担保に貸付を受けるとしても、債権の額面額からすると非常に低い金額しか調達できないのです。ファクタリングで手数料を割り引いてもらった方が、まだ多くの資金を調達できるでしょう。

このように、売掛債権担保融資と比較しても、ファクタリングの方が「利用者に優しい資金調達方法」といえます。融資なら2~20%程度しか調達できないところ、ファクタリングなら75~85%程度の評価で資金調達が可能となります。この点を忘れてはなりません。

9.2社間契約でファクタリング業者が引き受けるリスクは高い

2社間のファクタリング契約では、債権回収は利用者が行います。すると、利用者がファクタリング業者に払わず使い込みや持ち逃げをしたりするリスクも発生します。取引先などの第三者へ直接確認できないため、架空債権のリスクも発生するでしょう。登記や通知ができないため二重譲渡されるケースもあります。
2社間取引を容認したファクタリング業者は、非常に大きなリスクを負っているといえるのです。手数料を15~20%としても、決して暴利といえません。

10.ファクタリングを合法とする裁判例が多数

裁判でも、事業者向けファクタリングを合法と認めるものが多数あります(千葉地裁平成30年9月12日、東京地裁平成31年4月23日、東京地裁令和2年9月18日など)。
そうした裁判では「2社間取引であっても貸金業に該当しない」と判断されていますし、手数料が高いために貸金業違反、出資法違反とされてもいません。
中小事業者側のファクタリング業者への請求が、のきなみ棄却・却下されているのです。

今後、このサイトでは「金融裁判事例」として、ファクタリング業者や金融業者と中小事業者との間で争いになり、ファクタリング業者や金融業者の裁判事例を多数紹介していくので、ぜひご覧になってください。

まずはファクタリングに関する真実を知りましょう。そして必要な資金を本当に有用な方法で調達するため、知識を役立てていただけましたら幸いです。

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