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金融裁判事例

ファクタリング会社への不当利得返還請求が
認められなかった裁判例
(東京地方裁判所 平成27年(ワ)第24861号)

ファクタリングを利用した会社が、後になって「ファクタリングは実質的に金銭消費貸借契約」「公序良俗に反して無効」などと主張しはじめるケースをこれまで多数ご紹介してきました。
今回ご紹介する事案も、ファクタリング利用会社がファクタリング会社へ不当利得返還請求を主張したものです。

裁判所はファクタリング利用会社の主張を認めず全面的に棄却しました。

判決内容をわかりやすく解説します。

1.原告の主張

本件では、原告が被告(ファクタリング会社)から資金調達を行いました。
第三債務者からの回収については譲渡会社である原告に委託されたので、原告自身が回収して被告へと支払いました。

ところが後に以下のような主張をして、原告は被告へ支払った代金の返還を求めたのです。

ファクタリング契約は「金銭消費貸借契約」であり手数料が利息制限法を超過するので過払い金が発生する

ファクタリングは「債権の売買契約(債権譲渡契約)」の外観を持ちますが、実際には資金繰りに困った原告が「資金調達」いう「金融目的」で利用したものです。
また債権譲渡であるにもかかわらず第三債務者へ通知が行われず「債権譲渡の対抗要件」が備えられなかった事情からも「本件は債権譲渡契約とはいえない」とし、「実質的に金銭消費貸借契約である」と主張しました。

もしも金銭消費貸借契約であれば「利息制限法」が適用されるので、被告の設定した手数料のうち利息制限法を超過する部分の返還請求が可能となります。よって原告は被告に対し、「過払い利息」としての不当利得返還請求を求めました。

ファクタリング契約は金銭消費貸借契約であるにもかかわらず手数料率が高額すぎるので公序良俗に反して無効

本件ファクタリング契約では、第三債務者に十分な信用性があり、譲渡債権の回収可能性が極めて高かったという事情がありました。またファクタリング契約から支払いまでの期間も28日間など短かったため「回収不能リスク」は小さかったといえます。それにもかかわらず78~92%など高額な手数料が設定されていたため「暴利」であって「公序良俗に反し無効」と主張しました。
ファクタリング契約自体が無効となれば原告は被告へ「支払った債権の全額返還」と遅延利息の支払いを請求できます。

譲渡債権に「譲渡禁止特約」がついているから債権譲渡は無効

本件で譲渡対象になった債権には「譲渡禁止特約」のついているものが含まれていました。
譲渡禁止特約つきの債権は譲渡に適しないにもかかわらずファクタリングに提供されたので、原告としては「ファクタリング契約は無効」と主張しました。

2.被告(ファクタリング会社)の反論

上記の原告の主張に対し、被告となったファクタリング会社は以下のように反論しました。

本件ファクタリング契約は債権譲渡契約である

まず原告が利用した被告とのファクタリング契約は「債権譲渡契約」であり、金銭消費貸借ではないと主張しました。債権譲渡契約には利息制限法が適用されないので「利息の過払い」が発生する余地はなく、原告の請求は認められないと反論しました。

ファクタリング契約は公序良俗違反にならない

本件ファクタリング契約が「債権譲渡契約」であれば、被告は貸金業の登録をする必要もないし利息制限法も適用されません。また被告が第三債務者の回収不能リスクを負っている以上、78~92%程度の手数料は暴利とはいえないとも主張しました。
つまり公序良俗違反ではなくファクタリング契約は有効なので、原告からの返還請求に理由はないという結論になります。

譲渡禁止特約がついていても債権譲渡は有効に成立する

原告は本件で譲渡された債権に「譲渡禁止特約」がついていたことを問題にしましたが、譲渡禁止特約つきの債権も譲渡可能です。法改正前であっても「譲渡禁止特約の無効を主張できるのは第三債務者」であり、譲渡した本人(譲渡債権の債権者)ではないと理解されていました。従来から「特段の事情がない限り、譲渡した本人である債権者は譲渡禁止特約違反による無効を主張できない」とする判例があったのです(最高裁平成19年(受)1280号 平成21年3月27日判決)。
よって譲渡した本人である原告が「譲渡禁止特約」を理由にファクタリング契約の無効を主張することはできないと反論しました。

3.裁判所の認定

東京地方裁判所(平成27年(ワ)第24861号)は、以下のように述べて原告の主張を全面的に棄却しました。

  • 本件ファクタリング契約は債権譲渡契約であり、利息制限法は適用されない
  • 本件ファクタリング契約は公序良俗違反にならない
  • 譲渡禁止特約がついている債権譲渡も可能

以下で主要な判断事項を示します。

そもそも契約書において「売掛債権の売買契約」であると明示されている

契約上債権譲渡契約であることが明らかなので、特段の事情がない限り金銭消費貸借契約にはならないという前提です。

第三債務者への個別の信用調査が行われている

本件では第三債務者への信用調査が行われたうえで手数料率などが決定されているので、金銭消費貸借よりも債権譲渡契約に近いと考えられました。

債権譲渡通知が行われなくても債権譲渡は有効に成立する

本件では「取引先の信用を失いたくない」という「原告自身」の希望によって第三債務者への債権譲渡通知が控えられました。このように債権譲渡通知が行われなかったとしても、債権譲渡は有効に成立します。またいつでも債権譲渡通知を送れるよう通知書自体は用意されており、債権譲渡契約として不自然な部分はないと判断されました。

原告による表明保証は債務者の無資力や不払いの危険を被告に負わせるものではない

原告は契約時、被告に対し「虚偽を述べていない」などの表明保証を行っていました。しかしこれによって第三債務者の無資力リスクを負うものではありません。むしろ不払いリスクは被告が負担していたので「契約の性質は債権譲渡契約に近い」と判断されました。

第三債務者に信用があって契約から支払いまでのスパンが短かったことや原告が資金繰りに窮していたとしても、契約が公序良俗違反になるわけではない

原告が主張する諸々の事情によっても契約が公序良俗違反にはならないと判断されました。

以上より裁判所は原告の主張を全面的に棄却し、原告による不当利得返還請求は認められませんでした。

4.本件から学べること

ファクタリングが金銭消費貸借契約と認められる条件

本件では裁判所は「事業者間ファクタリング契約が金銭消費貸借契約と認められるには特段の事情が必要」と考えています。具体的には「利用会社が第三債務者の不払いリスクを負担している」などの事情があれば金銭消費貸借と認められやすくなります。

この点について原告は「不払いが生じてファクタリング会社から直接第三債務者へ通知が送られると困るので、事実上は買い戻さねばならない立場であった(つまり原告が不払いリスクを負担していた)」などと主張していますが、こうした「事実上の買戻し義務」は法的な買戻し義務とは認められません。

2社間ファクタリングだからといって不当利得返還請求が認められるとは限らないので利用企業としては注意が必要です。

公序良俗違反も認められにくい

ファクタリング契約が債権譲渡契約と認定されると高額な手数料も有効となるため、多くのケースで公序良俗違反も認められません。
実際、本件原告のように過払い金請求と公序良俗違反をセットにする請求例が数多くみられますが、このように予備的な主張をたてても結局は双方とも棄却されている例が多数です。

ファクタリングで資金調達を行った場合、後になって「実質的に金銭消費貸借」と主張して払った金銭を取り戻すのは簡単ではありません。今後ファクタリングを利用するときの参考にしてみてください。

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