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金融裁判事例

ファクタリング取引が貸金業法違反、公序良俗違反とされ不法原因給付が認定された裁判例
(東京地方裁判所 平成25年(ワ)第11877号 再生債権査定決定に対する異議事件 平成27年2月20日判決言渡し)

ファクタリングの形態をとっていても、裁判になると「実質的に金銭消費貸借契約」と認定されて公序良俗違反と判断されるケースがあります。ファクタリングが公序良俗違反になると、ファクタリング会社から利用会社への返還請求も「不法原因給付」となり、認められません。

今回はファクタリング契約が貸金業法違反、公序良俗違反と判断された事例をご紹介します。

1.事案の概要

原告はファクタリングを利用して資金調達した会社で、被告はファクタリングで資金を融通した会社です。

原告は資金繰りに窮したために被告へ資金融通を申し込み、債権譲渡によって資金調達しました。

  • 債権譲渡1-1 3840万円の債権を譲渡して3200円を受領(ただし原告が実際に受け取ったのは3000万円)
  • 債権譲渡1-2 2220万円の債権を譲渡して2000万円を受領(ただし原告が実際に受け取ったのは800万円)
  • 債権譲渡2  7600万円の債権を譲渡して3800万円を受領

Cによる中抜き

原告と被告の間には「C」という人物が関与しており、被告の支払った金額を抜いていました。Cが中抜きをしたため、債権譲渡1に関して実際に原告が受け取った金額は、債権譲渡1-1について3000万円、債権譲渡1-2については800万円でした。

買戻特約

上記のいずれの債権譲渡についても「買戻特約」がついており、原告は期日が来たら債権を買い戻さねばならない内容となっていました。遅延した場合の遅延損害金の年率は15%と設定されました。

架空債権の譲渡

原告から被告へ譲渡された債権のうち、債権譲渡2の債権は架空で実際には存在しないものでした。

原告の民事再生

その後、原告の経営状況が悪化して民事再生手続きを申し立てました。
手続き内で、被告は債権譲渡1と債権譲渡2にもとづき、合計債権額と遅延損害金について債権届を提出しました。ところが原告は被告が届け出た債権に対して異議を申し立て、被告が争ったために裁判所で査定されることになりました。
裁判所は債権譲渡1と債権譲渡2に関する被告の債権を認めました。

原告は納得せず「債権譲渡1と債権譲渡2にもとづく被告の請求権は存在しない」として、本件の「再生債権査定決定に対する異議訴訟」を提起しました。

2.原告の主張

本件訴訟における原告の主張は以下のとおりです。

実質的には金銭消費貸借契約である

本件における原告と被告の取引は、外形上は債権譲渡契約とされましたが実質的には金銭消費貸借契約と主張。債権の買戻特約がついており不払いリスクを原告が負っていたことからも明らかで、この点は被告も争っていませんでした。

貸金業法違反、公序良俗に反し無効

本件のファクタリングが金銭消費貸借契約であれば、利息制限法や出資法が適用されます。
本件債権譲渡1-1で設定された利率を年率にすると121.7%となり、出資法の制限利率である109.5%を上回ります。
また被告は資金繰りに窮していた被告につけこみ過剰な担保をとり、原告の代表者やC個人を連帯保証人に立てて公正証書を作成するなどの対応もとっていました。
以上の状況からすると、本件のファクタリングは貸金業法違反、あるいは公序良俗に違反し無効と主張しました。

不法原因給付が成立する

債権譲渡2の対象となった債権は架空で存在しません。
ただ、架空債権の譲渡を提案して被告に提示したのは、取引の間に入っていたCであり原告代表者は詳しい事情を把握していませんでした。
また額面額7600万円の債権を3800万円で譲渡し、7600万円で買い戻さねばならないという契約は明らかに暴利行為です。
債権譲渡2が公序良俗に反することは明らかなので、「不法原因給付」により、被告は原告に対して渡したお金の返還請求ができません。

よって被告には原告に対する損害賠償請求権も認められないと主張しました。

3.被告の主張

被告の反論は以下のとおりです。

貸金業法違反、公序良俗違反にならない

被告は業として貸金業を行っているものではなく貸金業法は適用されません。原告からCを通じて「どうしても資金融通をお願いしたい」と頼み込まれてファクタリングの方法を使って資金を援助しただけであると主張しました。

また債権譲渡1については、出資法の定める109.5%を多少上回る程度であり、公序良俗違反となるほどの暴利とはいえないとも述べて、「取引は公序良俗違反にならず有効」と述べました。

不法原因給付にならない

債権譲渡2について、原告は架空債権をねつ造して被告をだましたので明らかに不法行為が成立します。また額面額の半額で譲渡するという条件も原告やCが申し出たものであって被告の希望ではなかったので、公序良俗違反ではなく、不法原因給付にならないと反論しました。

4.裁判所の判断

債権譲渡1は貸金業法違反で無効

裁判所は、「債権譲渡1は貸金業法違反で無効」と判断しました。理由は以下の通りです。

  • 本件契約が実質的に金銭消費貸借契約であることについて、争いがない
  • 債権譲渡1-1を年率換算すると、利率は121.7%であり出資法の規制を超過する
  • 債権譲渡1-2を年率換算すると、利率は338.3%であり出資法の規制を大幅に超過する
  • 被告は反復継続する意思をもって原告へ資金融通していたので「業として貸金業を営んでいた」といえる

貸金業法では貸金業者による年率109.5%を超える金銭貸付を無効としているので、債権譲渡1は貸金業法によって無効と判断されました。

不法原因給付となる

債権譲渡2は公序良俗違反で無効であり、被告に損害賠償請求権が認められないと判断されました。理由は以下の通りです。

  • 本件で設定された利率は年率345.10%となり、出資法の制限利率を大幅に上回る
  • 原告が資金繰りに窮していた状況につけこんで不利な契約を締結したものである
  • 公序良俗違反となる以上、不法原因給付となるので被告は原告へ損害賠償請求もできない

以上より裁判所は原告の異議を認め、被告の原告に対する債権は存在しないと結論づけました。

5.本件から学べること

本件では買戻特約がついている債権譲渡が貸金業法違反、公序良俗で無効と判断されています。特に債権譲渡1-1の年率は出資法の制限を多少上回る程度でしたが、被告が「貸金業者」と認定されたことによって貸金業法によって無効と判断されました。架空債権の譲渡についても、不法原因給付の理論によって被告による損害賠償請求が認められませんでした。

以上のようにファクタリング取引が金銭消費貸借と認定されると、譲受会社(ファクタリング会社)は極めて不利な状況となります。架空債権を譲渡されて「だまされた」としても、損害賠償請求すら認められません。

ファクタリングを実施するときには、くれぐれも買戻特約や償還請求権を設定せず、ノンリコースを貫くべきといえるでしょう。今後の参考にしてみてください。

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