社長の見解

【倒産事例】製茶卸業のケース

昭和44年に創業し、その10年後には法人改組し九州で製茶卸業を営んでいた株式会社O社(資本金1千万円)が、2020年11月に地裁より破産手続き開始決定を受けました。

 

九州・東海・関西地区の茶卸業者に対し、県内の業者から仕入れた荒茶を加工し、自社製品として開発した煎茶を販売していた会社で、ピーク期といえる平成27年3月期の年間売上高は約3億以上を計上するなど業績は好調だったといえます。

 

しかし販売不能や在庫過多などを背景に業況はだんだんと低迷。このままではいけないと経営改善の指導も受け立て直しをこころみたものの、競合他社の存在も大きく改善には至りませんでした。

 

急須で飲むお茶そのものの売れ行き低迷など業界そのものの環境悪化、そして新型コロナウイルス感染症の影響などもあり、2020年3月期には年間売上高が約4千万円まで落ち込む結果に。

 

破産手続き開始決定を受け、債権者は20名以上、負債総額は約5億5千万円となっています。

 

6月は新茶の時期といえますが、コロナ自粛の真っ最中であり、本来なら新茶のイベントやキャンペーンなどが行われるはずが例年とは違った厳しい状態だったといえます。

 

秋冬の番茶の生産も終わったことで来年の一番茶に向け茶園管理も進めていたはずが、夏場の猛暑により生育が鈍く、従来の2~3割は減産してしまうことも状況をさらに厳しくしてしまいました。

 

外出自粛やリモートワークなどが推奨される中、巣ごもり需要で家庭用の商品は売上が増えています。しかし百貨店などのテナントや店舗で専門店として展開している企業などは、人の出入りの減少で販売数に影響が及んでいる状況です。

 

所得が減ったことで消費者の財布のヒモは締まり、節約志向がお中元だけでなくお歳暮など年末商戦にも影響を与え、苦戦を強いられている状態です。

 

飲食店なども営業自粛でお茶を購入・提供する機会を失い、その結果、卸売業にもその影響が及んでしまいました。葬祭事業などでもコロナ禍で参列者が減少し、葬儀規模も小さくなったことでお茶を提供する機会や香典返しなどが減少したことも影響しているといえます。

 

ミルクとブレンドするラテメニューなどのニーズは増加しており、市販用商品でも抹茶ラテなどの商品が発売されています。

 

その一方でお茶を淹れることや使用した後の茶殻処理は面倒だと、急須で飲むお茶のニーズは低迷してしまいました。製茶や製茶卸業界の環境はますます悪化し、飲み茶としての需要拡大も見込めず、先行きの見通しも立たなくなったことでO社も今回の措置に至ってしまったのです。

 

実際、O社に限らず製茶業を営んでいる企業では、新型コロナウイルスの自粛により本年度の委託加工の受付を控えるという決定をしているところもあります。

 

企業経営を続けるには、利潤を追求することが必要です。しかしコロナ禍で消費は大きく変わり、これまでの常識は通用しない変化が起きました。

 

時代の変化でライフスタイルが変わるように、求められる商品や売り方も変わってしまったといえます。好調だったはずのO社の業績も、ピーク時の7分の1を下回るまで落ち込んでしまうほどその影響は計り知れません。

 

そして時代の変化による消費者ニーズや競合他社の存在だけでなく、この新型コロナウイルスによる打撃がO社にとっては大きかったといえます。

 

いずれはコロナ禍も収束するでしょうが、もともと業績が悪化していた企業は返済猶予なども受けていた可能性もあるため、収束後に売上高をコロナ前に戻せたとしても資金繰りが追いつかなくなってしまいます。

 

個人消費が冷え込むことで、景気はさらに悪化することになりかねない状況です。巣ごもり消費や在宅勤務など人々のライフスタイルは大きく変わり、GOTOキャンペーンなど始まっても外食・宿泊・夜の飲食などの余暇消費への顧客の戻りは十分といえません。廃業や閉店のタイミングを探している店も多々あります。

 

金融機関も今は柔軟な姿勢で融資にも対応していますが、消費が動き始め潮目が大きく変動しはじめたとき、突然方向転換する可能性も考えられます。そのような事態への備えが今後は重要であり、生き残りをかけた戦略を講じていくべきだといえます。

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